身近だけど意外と知らない、大根の基礎知識【管理栄養士監修】大根にはどんな健康効果がある?より効果的に栄養素を摂取するコツとは

大根は、根菜類の一種で、白くて太く長い形状が特徴的な野菜です。原産地は、中央アジア、地中海沿岸など諸説ありますが、はっきりしておりません。最古の野菜であり、古代エジプト時代には栽培されていたと言われています。日本でも古くから栽培され、和食の代表的な食材の1つとして親しまれています。

 

大根には、葉の部分も含めると食物繊維やβカロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄などが豊富に含まれています。特にβカロテンは、免疫力を高める効果があります。そしてビタミンCは、コラーゲンの生成を促したり、メラニン色素の沈着を防ぎシミを予防する効果があるため、若々しい肌を維持するのに役立ちます。また、大根に含まれるアリルイソチオシアネートには、発がん抑制効果があることが研究で示されています。また、大根には消化を助ける酵素も含まれているため、食物の消化吸収をよくし、胃腸の働きをサポートします。

 

大根は生でも加熱しても食べられます。生の場合は、サラダや酢の物などに利用されることが多いです。また、加熱調理すると、食感が柔らかくなり、スープや煮物、天ぷらなどに使われます。大根の皮には栄養素が豊富に含まれているため、できるだけ皮ごと食べることがおすすめです。

 

大根には、食物繊維やβカロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄などの栄養素が豊富に含まれており、抗酸化作用やがん予防効果、血圧や血糖値の改善効果、免疫力強化効果など、様々な健康効果が期待されています。また、大根には低カロリーかつ水分が多く含まれており、ダイエットにも効果的です。これらの健康効果を活かして、バランスのとれた食生活に取り入れることは、健康維持や疾病予防に役立ちます。

大根の健康効果

大根の主な健康効果について解説します。

 

一つ目は、消化補助作用です。

大根に含まれる以下の成分が、消化吸収をよくし、胃腸のはたらきをサポートします。

・ジアスターゼ(でんぷん分解酵素):でんぷん(ごはんやパン等)の消化を助ける

・ステアーゼ(タンパク質分解酵素):タンパク質(肉や魚、卵等)の消化を助ける

・イソチオシアネート(辛味成分):胃酸の分泌をよくする

 

二つ目は、発がんの抑制作用です。

大根に含まれる以下の成分が発がんの抑制に作用します。

・イソチオシアネート:胃がんの原因となるピロリ菌を撃退する作用あり。

・オキシターゼ(酵素):魚の焦げにできる発がん物質(ベンツピレン)を分解する作用あり。

・リグニン(食物繊維):がん細胞の発生を抑える

ただし、大根だけでがんを予防できるわけではなく、健康的な食生活や適度な運動などの総合的なアプローチが重要です。

 

三つ目は、血圧の改善効果です。

大根に含まれるカリウムが、体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる働きがあるとされています。また、大根に含まれるナイアシンは、血管を拡張させる効果があるため、血圧を下げる働きにもつながるとされています。

ただし、これらの効果は、大根を単独で摂取することで得られるわけではなく、バランスのとれた食生活を維持することが重要です。また、高血圧の患者さんは、専門医と相談した上で、適切な食事療法を行うことが必要です。

 

最後、四つ目は、免疫力を強化する効果です。

大根には、ビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは、免疫力を強化する働きがあり、細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る役割を持っています。

また、鉄やマグネシウムが粘膜のトラブルを修復することにより、風邪や感染症から身を守る効果があるとされています。

さらに、食物繊維は、腸内環境を整える効果があり、免疫力を強化する効果があるとされています。ただし、大根だけで免疫力を強化できるわけではなく、バランスのとれた食生活や適度な運動などの総合的なアプローチが重要です。

大根の栄養バランス

大根には、以下のような栄養素が含まれています。

▼栄養価の数値(日本食品成分表2022より)

大根の根(皮つき・生)

・食物繊維 1.4g/100g

・葉酸 34μg/100g

・ビタミンC 12mg/100g

・カリウム 19mg/100g

・カルシウム 230g/100g

・鉄 0.2mg/100g

 

大根の葉(生)

・食物繊維 2.6g/100g

・βカロテン 2300μg/100g

・ビタミンK 220μg/100g

・葉酸 130μg/100g

・ビタミンC 49mg/100g

・カリウム 340mg/100g

・カルシウム 170g/100g

・鉄 1.4mg/100g

 

これらの栄養素は、身体にさまざまな健康効果をもたらします。

 

例えば、食物繊維には、腸内環境を整え、便通を促す効果があります。また、食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにする効果があるため、糖尿病の予防や改善にも役立ちます。

β-カロテンは、抗酸化作用を持ち、体内でビタミンAに変換されます。粘膜を強化することから感染症を予防する効果もあります。

ビタミンKは、腸内細菌からもつくられるという特徴があります。血液を固める作用があり、体内では出血時の凝固や骨形成にも関与しています。

葉酸は、DNAをつくるのに必要不可欠なビタミンです。葉酸を欠乏させると、細胞分裂や成長・DNAの形成に障害がでます。妊婦さんには特に必要となる栄養素です。

ビタミンCには免疫力を強化する働きがあり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくする効果が期待されます。また、ビタミンCは、コラーゲンの生成にも関与しており、肌や血管などの健康維持にも役立ちます。

カリウムには、細胞内の水分バランスを調整し、血圧を下げる働きがあります。高血圧の予防や改善に役立つとされています。

カルシウムは、骨や歯の健康を保つミネラルとして知られています。他にも、血液中に存在するカルシウムはホルモン分泌や情報伝達、筋肉の収縮など、多くの作用に関与しています。

鉄は、血(赤血球)の原料となるミネラルです。不足すると、貧血や冷え性、疲労、倦怠感などあらゆる不調につながります。

 

このように、大根に含まれる栄養素は、身体にとって重要な役割を果たし、健康維持や疾病予防に役立つとされています。

大根の食べ方のコツ

大根は、料理によって使用する部位を使い分けるのがおすすめです。

①葉に近い部分は、サラダや和え物などの生食で

葉に近い部位は水分が多く甘いため、生食で美味しくいただけます。

 

②中央の部分は、ふろふき大根やおでんなど、大根が主役となる煮物料理に

中央の部分は大きさが揃って最も甘みが強い部位です。大根そのものの味や形を生かす料理に使用するとよいです。

 

③下の部分は、大根おろしや薬味などおろす調理に

下部は水分が少なく辛いため、おろして味の濃い煮物や汁ものの実として使用するのがおすすめです。

 

また、料理によって調理法を使い分けるようにしましょう。

①歯ごたえのよい料理に仕上げる場合

サラダや和え物で千切りをする際は、繊維に沿ってカットすると歯ごたえがよくなります。また、煮物などの加熱する溶離も、繊維に沿って切ると煮崩れしにくくなります。

 

②やわらかい食感に仕上げる場合

繊維を断つようにカットすると、歯ざわりがよくなり食べやすい食感となります。お刺身に添える大根の”つま”にはおすすめです。

 

③煮物などの加熱調理をする場合

厚切りにして煮物にする場合は、皮を厚めにむき、面取りをすると煮崩れを防ぐことができます。さらに、かくし包丁を入れると火の通りが良くなり味が染み込みやすくなります。

 

最後に、大根の栄養素を余すことなく摂取するためのポイントをお伝えします。

大根は煮たり焼いたりしても美味しいですが、生食の料理も取り入れましょう。大根に含まれるビタミンCや複数の消化酵素は熱に弱い性質があります。

大根おろしをする場合は、食べる直前にすりおろしましょう。大根に含まれるビタミンCは熱に弱い性質がありますが、時間が経つと減少してしまうという性質もあります。

大根の葉は捨てずに美味しくいただきましょう。大根の葉は緑黄色野菜に分類され、脂溶性ビタミンやカルシウムなど、栄養素が豊富に含まれています。葉の部分は油と炒める調理がおすすめです。

 

日々の食事に大根を取り入れよう

大根には食物繊維やβカロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄などの栄養素に加え、数種類の消化酵素や体内で有効に作用する複数の成分が含まれています。これらの栄養素や各成分には、栄養素の消化吸収を助け胃腸を整える効果や発がんを抑制する効果、免疫力を強化する効果、血圧を改善する効果などがあります。

料理によって調理方や使用する部位を使い分けるなど、楽しく日々の食事に大根を取り入れて健康的な食生活を継続していきましょう。

 

 


 

監修:黒木真海

管理栄養士

栄養教諭として学校給食の献立作成を行いながら子どもたちの食課題と向き合い、授業や日々の子どもたちとの関わりの中で食育を実践してきました。

現在はLODISH開発責任者として、「多くの方が健康を日常とするために何ができるのか」日々試行錯誤しながら栄養バランスを考慮した商品の開発を行っています。