アスピリンとは

サリチル酸の誘導体であるアセチルサリチル酸のこと。もともとはバイエル社の商品名であるが,今では非ステロイド性抗炎症剤の名として一般的である。主として皮膚の血管を拡張して熱の拡散を早めるので,鎮痛,解熱,抗炎症剤としてよく知られている。水に溶けにくい白色の結晶で,わずかに酸味がある。アミノピリン,アンチピリンなどのピリン系薬品と違い,激しい副作用が少いと考えられていたため,市販薬品の規制の厳しいアメリカなどでも,ビタミン剤とならんで広く用いられていた。しかし幼児の場合には,脱水症状や血液が酸性になったときに体内に蓄積しやすいこと,またライ症候群 (インフルエンザや水痘にかかった子供が,後で激しい嘔吐,意識障害,けいれん,肝障害などを起すもの) 合併の引き金になる恐れがあるということで,現在では小児科ではほとんど用いられない。