
執筆:
ナースあさみ
私、ピル飲んでるんだ〜
と言うと必ず聞かれる副作用についてお答えしてしていきます。

執筆:
ナースあさみ
それにしても、なんで日本人は薬の効果よりも副作用の方が気になるのかしら…
私にはそっちのほうが不思議です。
低用量ピルの副作用やリスクについて
低用量ピルを内服している一番のリスクは、血が固まりやすくなってしまうことなんです。
血栓症を引き起こしやすい、という言い方もします。
と、言ってもよくわからないと思うので、低用量ピルを内服しているせいで起こりうるリスクを説明していきますね。
起こりうるリスク
- 静脈血栓塞栓症
- 子宮頸がん(5年以上の服用)
- 消化器症状(吐き気や悪心)
- 喫煙者の虚血性心疾患
- 虚血性脳卒中
病気がみえる 婦人科・乳腺外科 p.98 図より引用
中でも怖いのは、静脈血栓塞栓症
これは下肢(太もも〜ふくらはぎの間)に血栓(けっせん)と呼ばれる血の塊ができてしまう病気です。
これを回避するために、定期的に血液のかたまりやすさ(凝固)をチェックしたいから、一定期間での採血が必須となるんです。
万が一、足の痛み、腫れ、しびれ、発赤、ほてり、頭痛、吐き気のように血栓症の予兆を感じたら速やかに医療機関を受診してください。
ピンチだと思ったら、救急車を呼んでいいレベルです。
もし血栓症になっていた場合、血液をサラサラになる薬を投与したり、四肢血管エコーで詰まっている血管を特定したり、カテーテル処置で血栓を溶かし除去することもあります。
脅迫みたいになってしまい恐縮ですが、血栓症の一番怖いところは血栓ができることじゃありません。
出来た血栓が血液にのって全身を巡ることが怖いんです。
心臓に巡ってつまると心筋梗塞に、肺につまると肺塞栓症に、脳につまると脳梗塞にと、重大な病気を引き起こし、場合によっては生死を彷徨うことがあるからなんです。
こうした最悪の事態が起きないよう、毎月の診察をはじめ採血、乳腺エコー、経膣超音波などの検査でモニタリングしていく必要があります。
毎月通うのめんどくさいな、採血痛いしやだなと思う人が多いかもしれませんが、それにはこうした理由があることを知っておいてほしいです。
低用量ピルを飲んではいけない人
低用量ピルの内服が禁忌となる人も載せておきます。
- 大手術の前後および長期安静臥床を要する患者
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙者
- 高血圧、血栓症、糖尿病のある者
- 産後4週間以内の者
- 授乳中の者
病気がみえる 婦人科・乳腺外科 p.98 より引用
血栓症のリスクが高い人や、ホルモンバランスが生理的に乱れている状態の人は禁忌となります。
上記に該当する人へは、基本的にピルの処方は行われません。
どうしても欲しい人は、医師へ相談してみてください。
低用量ピルってホルモン剤でしょ?美容への影響が心配…
順にみていきましょう。
ニキビや吹き出物は?
ホルモンバランスがある程度一定になるので、生理前のニキビや吹き出物は落ち着くと言われています。
太るって聞いたんだけど…
体重が増えるという心配もありますが、生理前はだいたい浮腫むので体重増えますよね。
それと同じくらいなのでそんなに心配する必要もないと思います。
せいぜい増えても1〜2キロなので、糖質を抑えたり、筋トレしたりして元に戻せばいいんじゃないかと
肝斑とピルの関係は?
よく言われるのが肝斑とピルの関係ですね。
ピルをのむと肝斑ができるんじゃないか、というもの。
なぜこういうことが言われるようになったかと言えば、トラネキサム酸という止血薬の副産物として肝斑を薄める効果が認められたからと言われています。
詳細はこちらの記事、有料部分に言及している箇所があります。
同じく、トランシーノのサイトにも肝斑と女性ホルモンの記載があるので、よかったら参考にしてみてください。
美容のために内服している人が多いそうですが、トラネキサム酸はあくまで止血薬。
そのため、副作用を狙いにいくのか……という認識です。
最後になりますが、美容のためにピルを求める人がいますが、ちょっとどうかなと思います。
ピルでホルモンを外注するくらいなら、まずは自分のホルモンバランスが整うよう日常生活や人間関係、仕事を見直した方がよっぽど建設的なはずです。
今回は少し怖い話をしましたが、これも低用量ピルを出来るだけ安全に内服して欲しいため。
自分でできるリスクヘッジは自分で、を合言葉にしていきたいものです。