今回は、妊娠・避妊・中絶を司る女性のための法律、母体保護法について解説していきます。
法律なんて、関係なくな〜い?
なんて思わずに、基礎知識として読んでみてもらえると嬉しいです。
母体保護法とは?
母体保護の名の通り、お母さんを優先する法律です。
どういうことか、説明していきますね。
例えば、赤ちゃんが生まれる前に胎盤が子宮からはがれてしまうという病気(常位胎盤早期剥離)があります。
この病気、子宮の中で多量に出血をしてしまい、お母さん・赤ちゃんともに命の危険に晒されてしまうものなんです。
こういう場合、赤ちゃんよりもお母さんを優先して治療をします。
なぜなら、お母さんにはすでに生きてきた人生があるからです。
非常に心苦しい言い方ですが、赤ちゃんはまだ人格が乏しく、生きてきた歴史も浅い。
でも、この年齢まで生きてきたお母さんという人を、また生み出すことは絶対にできないんです。
だから、母体優先という考え方になります。
つまり、この法律は、言葉の通り母体(母親・お母さん)を守る法律という意味があります。
「母体の生命健康を保護する」ということです。
そのような意味があるため、母体優先という考え方をしていくことになります。
そして、当然ながら、この法律は妊娠や不妊治療の際に大変重要です。
女性にとっては身近で、味方になってくれる大切な法律となります。
少し頭に入れておくだけでいいので、読んでもらえると嬉しいです。
母体保護法で大切なポイントは大きくわけて2つ。
人工妊娠中絶について(第2章)
人工妊娠中絶を規定している法律が母体保護法になります。
なぜ、人工妊娠中絶が関わっているのか?
それは、先ほど書いたように人工妊娠中絶をする意味は「お母さんの命」を守るためだから、です。
人工妊娠中絶=赤ちゃんを殺すといったイメージがもたれがちですが、実はそうではありません。
この条件は、お母さんを守るためにあるんです。
詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
そのため、出来ちゃったけど産みたくないから産まない。
産めないから中絶しなくちゃ…っていうのは出来ません。
加えて、人工妊娠中絶を行う医者を母体保護指定医といいます。
もしこの資格を持たない医者が人工妊娠中絶をした場合、母体保護法に違反となり堕胎罪(だたいざい)に問われます。
どんなに有名な病院の医者でも、この資格がないのに中絶を行うと罪に問われます。
そのため、必ず母体保護法のいる病院やクリニックに行きましょう。
不妊手術について(第1章)
最近耳にするようになった不妊治療という言葉。
これも母体保護法の中に規定されています。
法律のなかで決められていることを簡単に話していきます。
妊娠または出産が母体を危険に晒してしまう
当たり前ですが、お母さんの身体・命があってこその妊娠と出産です。
お母さんの体が妊娠・出産することで危険に晒されるとわかっているのに、不妊治療を進めることはお母さんの命をさらに危機的状況にさらしてしまうことになります。
そのため、不妊治療を行うかどうかを夫婦で話し合っていくことが大切になります。
現在数人の子供がいる、かつ、出産するごとにお母さんの健康度を落としてしまう場合
出産には体力が必要です。
育児は楽しく素晴らしいものですが、やはり気力・体力だけでなく、経済的にも負担がかかってきます。
また、何人か子どもを産んでいるということは、お母さん自身も年齢を重ねています。
それを考え、医者は不妊治療をするか決めていく必要があります。
出産後の性生活、次に子どもを望むかどうかは、助産師による家族計画指導でも相談できるので、聞いてみるのもアリです。
産後のケアについて、こちらのリンクが参考になるのでぜひ。
婚姻関係を結んでいなくても、この法律は適応になります。
つまり事実婚でもOKです。
不妊治療をするときも、お母さんの身体や命を守りつつ進めていく必要があるんです。
母体保護法についてこんな感じです。
妊娠・出産は、お母さんの健やかな身体と命があってこそです。
こんな法律が存在していて、私たちって実は守られているんだなと感じてもらえると嬉しいです。