はじめて産婦人科を受診する人、必見!産婦人科での問診票の書き方を徹底解説します。

産婦人科を受診するにあたっては、いろいろなハードルがありますが、最初の難関はきっとこれ。

問診票

はじめて書く人にはなかなか慣れないものでしょうし、私でさえ、えっと…と考えてしまうことがあります。

男性にはあまり縁のないものだと思うので、参考例をお見せしますね。

 

 

(この資料、Googleドキュメントで制作したのでよかったらこちらから。好きに使ってください)

多くの人が、漢字は読めるのに意味がわからない……日本語なのにわからない……

と、感じるのではないでしょうか?

特に、受診に慣れていない学生さんや今まで病気知らずの人は、ここでつまづいてしまう人もいるかもしれません。

そこで今回は、問診票とその書き方について徹底的に解説します。

肝心なのは、問診票を記入したその先にあります。
少しでも、不安点や疑問点を解決できるお手伝いができたら嬉しいです。

 

その前に、まずはここから。

なぜ、問診票を書かなくてはいけないの?

これにはふたつの理由があります。

1、患者さんの情報を効率的に収集するため

医療の世界では、患者さんから病歴や日頃の様子を伺うことを情報収集と言います。

これ、本来ならば診察室で話を聞きながらカルテに打ち込んでいくのが理想なんですが、診療における時間的・人的余裕がないんです。

そのため、患者さんにあらかじめ書面で情報をもらっておくことで、情報収集をより効率的にできるというわけ。
そして、その分、診察や診療に時間とリソースを割くことができます。

2、患者さんのプライバシーに配慮するため

産婦人科での問診は、内容が非常にデリケートです。

いくら診察室が個室とはいえ、声や音まで防御されているかといえば難しいところ。
医療機関によっては、カーテンの仕切りだけというところもあります。

そんな中で、性交歴や中絶歴のことを聞く・聞かれるのはお互いにいい気持ちがしません。

そのため、個人間で情報を保持しやすい書面でのやり取りが多いのです。

 

事実じゃないことを書くと、どうなるの?

患者さんの中には、実際の体重よりも軽く記入したり、喫煙歴や飲酒歴をごまかそうとすることがあるんですが辞めたほうがいいです。

というのも、そのツケがのちのちあなたに返ってくるかもしれないから。

体重だって、興味本位で聞いているのではありません。
標準よりも体重が軽い、もしくは重い場合は、妊娠継続や分娩に大きく影響しますし、もしも緊急オペになった場合、身長や体重から使うべき麻酔薬の量を算出することだってあります。

ここを偽って記載したら、本来使うべき薬の使用量よりも過多・過少になってしまい、スムーズな手術の進行の妨げとなることもあるんです。

ここで一番不利益をこうむるのは誰でしょう。
私たち医療者ではなく、患者であるあなたなんです。

喫煙や飲酒もそう。

なにもしていない人に比べて、いろいろと病気や合併症のリスクが増大します。

私たち医療者は、そういうリスクに備えるために情報収集しているのに、ここを偽られると予期せぬ事態や急変に迅速に対応できないことだってあります。

そのため、正確な情報を記載してほしいです。

これが、安全で的確な医療やケアの提供につながっていきます。

 

 

質問項目をひとつずつ解説!

では、ここから具体的な質問項目について解説していきます。

各症状の名前と内容について

下腹部痛

下腹部はへそから下の部分だと思ってください。
生理痛がある人は、痛くなるあの部分です。
生理中である・ないに関わらず、痛みがある時は◯して大丈夫です。

不正出血

生理中ではないのに、膣からの出血がある場合に◯をつけます。
血尿や肛門からの出血の可能性もありますが、それはその他の項目に記載するか、診察の時に直接伝えられそうならそれでもOKです。 

おりもの

生理中にである・ないに関わらず膣から産生される酸性の粘液のことです。
これが、多い、少ない、色がおかしい、においがおかしいなど、ご自身でちょっとおかしいかも?と思ったら◯をつけてOKです。

かゆみ

膣〜外陰部・肛門周囲までかゆみを感じていたら遠慮なく◯をつけてください。
かゆい、痛い、ヒリヒリするなどは身体からのサインです。
性感染症の代表的な症状でもあるので、恥ずかしがらずに◯をつけてもらいたいです。

子宮が下がった感じがする

子宮脱とも言います。
子宮をはじめ、肛門や膀胱を支えている骨盤底筋の力が弱まったり、その他何らかの影響によって、体内におさまっているはずの子宮が外に飛び出してしまう状態になります。
主に、出産により影響や加齢に伴う病気とされています。
膣からなんか出てる…?という人は、ここに◯をつけても良いと思います。

しこりがふれる

尿道〜膣〜肛門まででどこかにしこりがふれたり、乳房のしこりでも大丈夫です。
しこり=がんと早とちりしてしまう方も多いのですが、そうではありません。
仮にがんだとしても、今は早期に対応すれば治る病気でもあります。
怖いかもしれませんが、症状の自覚があるなら◯をつけてください。

予定の月経がない

来るはずの月経(生理のこと)がない=妊娠では…?と考える人も多いのですが、必ずしもそうとは限りません。
ホルモンバランスが乱れていたり、ホルモンが乱れる病気だったり、スムーズに排卵が起きていない可能性もあります。
ここも遠慮せずに◯をつけてほしい箇所です。

妊娠してるかどうか知りたい

生理がこない、つわりのような症状がある人がこれに該当するかと思います。
妊娠の可能性がある場合、レントゲンやMRIに制限があるので少しでも可能性がある方は申し出てもらえると良いです。

月経移動

生理を移動…?と思われるかもしれませんが、たとえば海外出張がある、海で泳ぐ予定がある、など生理日をずらしたい人がこれに該当します。

これは低用量ピルを内服している人も可能です。
しかし、この多くが医療的介入ではなく私情なので、自費診療となることが多いです。

排尿時痛

排尿の際に尿道〜膣が痛い、ヒリヒリする、滲みるような症状をいいます。
こちらも我慢していいことなんて何もないので、症状がある際は◯をつけてほしいです。

性行為痛

これは性行時に感じる痛みのこと。処女だから、経験が少ないからという理由だけではなく、子宮筋腫や子宮内膜症が隠れていることがあります。
恥ずかしがらずに記載してもらいたいです。

不妊相談

不妊の定義もさまざまですが、夫婦生活を送って1年経っても妊娠しない場合を不妊と定義づけているところが多いです。

そのため、子どもを望んで3ヶ月経ってもまだできない…!は、残念ながらこちらには該当しません。
排卵が正常に行われているか、卵子の状態は健全か、精子の運動率を調べたい場合は、診察の際に医師へ相談したほうが確実だと思います。

中絶希望

妊娠検査薬で妊娠の陽性反応が出た、など明確に妊娠がわかる状態ものがあれば提示できると望ましいです。

中絶を希望する場合、未成年の場合は親の同意書が必要だったり、成人した大人であっても明確に中絶を希望する意思が必要だったりするので、ここも心配な人は医師や看護師、助産師に相談しながら意思決定していって大丈夫です。

子宮がん検診

検診希望の場合、多くが事前の予約が必要なことが多いです。
そのため、電話やネット予約をしておくことをオススメします。

当日、受け入れてくれる医療機関もありますが、市区町村からの検診案内を持参していることが絶対条件です。

ピル希望

低用量ピル、モーニングアフターピル関わらず、希望がある方はこちらに記載してください。
血栓症の疑いがある方には処方が厳しい薬なので、まずは初回の採血をみてから判断する医療機関もあります。

それぞれの特徴についてはこちらを参考にしてみてください。

 

病気にかかったことがあるか

これは病気の歴史(病歴)の確認です。

実は、子どもの頃に心臓の手術を受けたことがある、など大人になってからでは見た目ではわからないこともたくさんあるので、お伺いしています。

また、ピルの処方や妊娠・分娩・手術においても、血液の固まりやすさがとても大事な指標になります。

 

・血栓症の疑いがあると言われたことがある
・一時期でも抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用していたことがある

こういう場合には、必ず記載していただきたいです。

手術を受けたことがあるか

これはイコール、麻酔を使用したことがあるかを確認しています。

麻酔に使う薬は、医療用麻薬、劇薬、毒薬など普通に生きていればまず投与されない薬です。
これらを使用した時に、ショックを起こしたりする人もいるんです。

手術にも、全身麻酔、腰椎麻酔、局所麻酔と主に3種類あるので、もし可能ならばその旨を記載してもらえるととても助かります。

特に、全身麻酔での手術歴がある人は、その術前に心臓や肺機能の検査をしているはずなので、前医の情報(診療情報提供書)があると、患者としては完璧です……!

輸血をうけたことがあるか

ここもめっちゃ大事です…!

輸血も全身麻酔での薬同様、重篤なショック状態を引き起こす場合があるからです。
一度でもショックを起こした患者さんは、血液が足りなくなった時に輸血という最終手段を使えないので、事前にいろいろと備えておく必要があるんです。

ただ、輸血が必要な状態って患者さん自身が意識不明の重体というパターンが多いので、ご本人が自覚していないパターンもあります。
わかる範囲でいいので、輸血歴があれば記載をお願いしたいところです。

治療中の病気について

病気はもちろん、服用している薬があれば必ず記載してください。

今後の治療・投与する薬との相性や兼ね合いがあります。

抗凝固薬(血液をサラサラに保つ薬)を飲んでいる人は、何か処置をする際の出血のリスクを減らすために休薬期間を設けないといけない場合もあるので、ここは特に正確に記載をお願いしたいところです。

サプリメントや漢方は、この時点での記載は不要です。

性交歴の有無

産婦人科での特殊診療といえば、内診
はじめてで過度に緊張してしまい、なかなか診察がスムーズにいかなかったり、性交歴のある方の診察の場合には感染症に留意するなど、ここは医療従事者にとっても大事な情報なんです。

ここでビッチじゃん!とか、わ…まだ経験ないの…?なんて口にする医療従事者はいないはずなので、安心してください。

そして、ここからが肝心!
内診で使用する器具にクスコ(膣鏡)と呼ばれるものがあります。
膣の中を見やすくするために使用する器具なんです。

実は、性行歴があるかどうか、分娩歴があるかどうかで、膣のサイズは変わります。
(分娩歴がある人=サイズ大きめという認識です)

そのサイズに合わせて、挿入するクスコのサイズを決めているんです。

そのため、経験がないのに見栄を張って「あり」と記載して、大きめのクスコを挿入されてしまうと、痛みが増したり場合によっては裂傷を引き起こしてしまうこともあります。

経験ないと書きづらい人もいるかもしれませんが、きちんと申し出てもらわないと自分の身体を傷つけるどころか医療事故につながる可能性もあります。

自分の安全のためにも、正直に記載してもらいたいです。

月経に関して

ここからは、月経とその用語に関してです。

初経と閉経

初経は生理が始まった時期、閉経は生理が終わった時期のこと。

初経も閉経も迎えていない、覚えていない場合はその旨を記載しておいてもらえると助かります。

最近の月経について

こんなこと言っていいのかわかりませんが、私はピルを飲み始めるまで自分の生理について全然わかっていませんでした。
なので、え…?いつからだっけ…そもそも前にあったのいつだっけ…??って人は、わからないって記載しても大丈夫。
怒られたりしないので安心してください。

一方で、アプリを使って管理している人もいると思うので、そういう人はきちんと書いてもらえると助かります。

月経周期

ここも、わからなければわからない、覚えていなくても大丈夫。
なんとか覚えている範囲で記載をお願いします。

経血の量と月経痛

人と比べにくいものなので、自分の主観でOKです。
痛み止めを内服している人は、その薬の種類と頻度を書いてもらえるとベターです。

参考までに正常な生理についての記事はこちら。

薬、食品などに関するアレルギーの有無

ここはそのまま書いてもらえばOK!

アレルギーの程度はさまざまですが、症状が出た時点でその品目のアレルギーと言えるので、気になる人は全部書いてください。

喫煙や飲酒の習慣

ここは、正確に書いて欲しいところのひとつですね。

特に喫煙歴は、低用量ピルを内服するにしろ、手術をするにしろ普通妊娠・分娩に望むにしろ、リスクしかないからです。

有名どころでいえば、コウノドリというドラマで早期胎盤剥離の患者さんがいました。
彼女は妊娠しても喫煙をやめられず、それが原因のひとつとなって胎盤が剥がれてしまい、そのまま緊急帝王切開手術を余儀なくされました。

これは特殊な例と言いたいところですがそうでもないので、喫煙歴と飲酒歴も正確に記載して欲しいです

家族やパートナーの病気の情報

なんで家族のことを聞かれなきゃいけないんだ…?って思う方もいるでしょうが、高血圧、糖尿病は高齢者だけがなる病気ではありません。

妊娠中に発症・悪化し、分娩後も治療が必要になる人もいるんです。
それが20代の女性であっても。

高血圧、糖尿病にくわえがんも、遺伝性の強い病気だと言われています。

妊娠がわかったと同時に卵巣がん、子宮頸がんが発覚したという人も、少ないですがいます。
そうすると、妊娠を継続しながらがんの治療も行わなくてはなりません。

そういうことを予測・対応するためにも、問診時にこういう情報をお聞きしています。

妊娠や分娩歴などについて

ここも言葉がちょっと難しいので、説明をくわえていきますね。

妊娠

文字通り、妊娠です。
この後説明しますが、産んだにせよ、中絶したにせよ、流産してしまったにせよ妊娠したことがある人はその回数の記載します。

分娩

いわゆる、出産です。その内容ですが

自然分娩

経膣分娩、下から産んだという理解でOKです。
無痛分娩であるかどうかは問いません。

帝王切開

お腹を縦、または横に切って手術(全身 or 腰椎麻酔)で行います。
膣を通っていませんが、これも立派な分娩です。

流産

自然流産

これは、妊娠を希望していたのに胎児が子宮外に出てしまう状態を言います。
妊娠したことのある女性の約38%が経験しているので、決して珍しいことではありません。

人工妊娠中絶

これは、意図的に中絶した場合を言います。

日本では、妊娠22週未満までが中絶できる期間となっています。
22週以降はいかなり理由があろうとも、中絶することはできません。

 

おわりに

いずれの項目にも言えますが、きちんと正直に記載することが一番大切です。

医療従事者だって人間です。
嘘をついた患者さん、偽りの記載をした患者さんへの印象は当然悪くなりますし

なにより、患者さんへの安全・安心・安楽を保てなくなってしまいます。

医療は医療従事者側だけで成り立つものではなく、患者さんの協力が必要不可欠です。
ご自身の身体を守る意味でも、正確な情報提供をお願いします。

 

参考文献

日本産科婦人科学会 不妊症のリンクより

ナースあさみ

看護師
ナースあさみ

この記事を書いた人

看護師10年目のアラサーナース。消化器外科内科6年、整形・内科混合病棟4年目。医療倫理や緩和ケアも好き。低用量ピル服用も10年目。特にトラブルなく過ごしています。