細くて、色が白くて、かよわそうな女子。
ドラマや小説にこういう女性ってよく出てきますよね。
でも、このめまい、立ちくらみ、顔色が悪い…
いわゆる貧血の症状と呼ばれるものですが
病気としての「貧血」とはちょっと異なります。
実は、症状=病気ではないのです。
目次
貧血症状がある=貧血だとは限らない
糖尿病がいい例。
病気が進行していても、なかなか症状にあらわれません。
血糖値が高くて視力が落ちたり、腎臓の機能が落ちたり、足の循環が悪くなるのは、病気が進行したずっとあとに症状として出現します。
実は、貧血も一緒なんです。
貧血とは、血液の中にあるHb(ヘモグロビン)が少ない状態のこと。
女性の場合、12(g/dl)を切ると貧血(鉄欠乏性貧血)と診断されることが多いです。
そのため、厳密に言えばHbが低いからめまいがする・立ちくらみがするなどの症状が出現すると、一概には言えないのです。
ここでHb(ヘモグロビン)について、もう少し詳しく説明していきます。
Hb(ヘモグロビン)ってどういうはたらきがあるの?
貧血を調べるためには、採血でHb(ヘモグロビン)という物質の量を調べます。
Hbは、全身に酸素を送るために欠かせない物質。
Hbが少なくなると
→全身に行き渡る酸素の量が減る
→酸欠で苦しい
→めまいや立ちくらみ
といった症状を引き起こしやすくなります。
酸欠っていまいちピンとこないかもしれませんが、全力疾走したあとのあの感じだと思ってもらえればOK。
とてもしんどい。
ちなみに、Hbの一般的な値は
女:12前後
男:14前後
と、言われています。
手元に健康診断の結果がある方は、採血の項目を見直してみてくださいね。
貧血は突然起こるものではない
貧血の主な原因は
・出血(生理などで物理的にHbが下がる)
・鉄分不足(Hbの材料となる鉄分が少ない)
です。
ということは、事故にあって大量出血でもしない限り、いきなり貧血になることはないんです。
多くの人が、生理やがんによる消化管からの出血、鉄を吸収できない何らかの状態になって、じわじわと貧血が進んでいきます。
ちなみに、私が今まで出会った患者さんの中で、一番Hbが低かった人はHbが3(g/dl)でした。
(生きているのが不思議なレベル)
でも、ご自身で歩いて外来までこられてました。
当の本人は、貧血の自覚症状がまったくなかったのです。
じわじわと症状が進んでいたため無自覚でした。
もちろん、その患者さんは即日入院、緊急輸血を実施していました。
めまいや立ちくらみ=貧血じゃないの?
たしかに、貧血症状で多いのは上記のこのふたつ。
ですが、これらの症状って低血圧でも起こる症状なんです。
この場合、貧血が原因で起こる症状ではなく、低血圧によって脳へ届けられるべき血流量を保持できず、めまいや立ちくらみを引き起こすメカニズムとなっています。
めまいや立ちくらみといった結果が同じでも、その原因と辿るプロセスが異ります。
症状が強い場合には、貧血なのか、低血圧なのか、その他の原因なのかを知る上でも、医療機関の受診をおすすめします。
貧血への対処方法は?
- 鉄分の多い食品を多く摂る
- 鉄剤を内服する
- 重度の貧血の場合は、輸血をすることもある。
ただ、貧血への対応の前に
・がんのせいで貧血症状を呈している
・自己免疫性疾患などによって血球が全体的に低値
こう言う場合には、そちらの治療が優先されます。
命の危機に晒されているからです。
そちらの治療の結果に伴い、貧血症状が改善していくこともあります。
まとめ
女子に多い貧血について解説しました。
実は、低血圧だった、ひいては自律神経失調症だったなど、原因が違う場合も多々あります。
そのため、同様の症状が出現した時に、本当に貧血なんだろうか?という視点を持てると強いと思います。
仮に、貧血の診断を受けても対処法や解決法はあります。
生活の中で改善できることから、はじめていきましょうね。